パン・料理研究家 荻山和也の想い

シンプルで美味しい「生きるちからを育むパン」を日常に。

恩師である竹野豊子先生との出会いでパンの世界に入り、私の人生と切っても切り離せない存在になったパン。この世界に飛び込んだ最初の半年間はアシスタントを勤めながら、「同じように焼けるまで」という師匠の言葉どおり、毎日ロールパンを100個焼いていました。竹野先生は私の成長をじっと見守って育てるというスタンスをとってくださり、そのおかげで、パンとじっくり向き合う姿勢が身につきました。

そして、半年後、ひとりでロールパンの5回連続教室を開催、そこから私の手作りパン教室がスタートしました。

今までとてもありがたいことに、たくさんの教室、雑誌のレシピ掲載、本の出版、など温かい人たちのご縁をいただきながら、多くの仕事に携わってきました。

求められるテーマやレシピも多様で、その度に私のパン作りの世界が広がっていきました。

パンの本場ヨーロッパの製パン学校に留学

そして、パンの本場ヨーロッパの製パン学校に何度か留学、マイスターたちに師事、大切なことを多く学ばせていただきました。その中でとりわけ印象に残っているのは、「パンは技術じゃなくて人柄」、と出会ったマイスターの全員が口を揃えて語られたこと。「パンは上手いだけじゃダメなんだよ、後輩の指導もできたり、人に教えられるようになって、いいパンができるんだ」、という言葉が深く心に残りました。

また、ヨーロッパで再確認したのは、「パンの作り方、考え方は多様で、正解も不正解もない」ということ。さまざまなレシピがあるからこそ自由で、かつ、研究しがいがあり面白い。

今後の目標

「そんなにパンばかり作って飽きないのですか?」と聞かれることもあります。どんなに忙しくても、夢に出てくるほどレシピを考えても、毎日パンを作り続けても、一度も辞めたいと思ったことがないのは、温度・湿度・イーストの状態・粉などによって作るたびに毎回違い、それが心から楽しいから。そして、何より「命の糧としてのパン」をより多くの方に楽しく、ご飯を炊くように気軽に作っていただきたいから。

私の理想のパンは、美味しくて、レシピ・器具の両面からご家庭で作りやすいこと。そして作り手が楽しく作れることです。そのために、そして、生徒さんの喜ぶ顔を見られるように、これからもシンプルで美味しいパンを日夜研究してまいります。